素敵なひととき

家事代行の利用が堅調に推移

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まともな住宅の建つ政策が存在していたら、こんなに犠牲者のでなかったことは容易に推察できる。
被災の階層性震災による死者にはいくつかの特徴があった。
犠牲は高齢者、障害者、被差別部落住民、若者、在日外国人などを中心に、低所得層や、日常から居住差別をうけている人たちに多かった。
衣食住のうち、今日では衣食が平準化してきているのに比べ「住」の階層較差ははなはだしい。
普段はかくれていたことを、地震は一挙に浮かび上がらせた。
住居の基本的条件は生命の安全を守ることだが、犠牲となった人たちはどのような家に住んでいたのだろうか。
年齢別死亡者構成を見ると五〇歳ぐらいから死亡者数がふえ(図1)、全死亡老中七〇歳以上一二三・七%、六〇歳以上では五三二%を占める。
また高齢になるほど女性の死者数が多い。
さらに同年齢人口に占める死者の割合も七〇歳代、八〇歳代と年齢が上がるほど高くなる。
被災地区に高齢者、とくに高齢女性が大勢住んでいたこと、老朽家屋居住などが多かったことを示している。
震災は老朽化した狭い家に住む高齢居住者を直撃したのである。
日本は高齢者福祉政策として在宅福祉を目指している。
住み慣れた家とまちで人生を継続するのは望ましいことである。
だが、住宅が現状のままでの在宅福祉は、お年寄りのいのちを危ぅくする。
寝たきり老人、虚弱老人、障害をもつ老人は倒れた家から逃げられない。
住居を安全にすることなしに在宅福祉は成立しないと考えるべきである。
高齢者は全体として老朽家屋に住んでいることが多い。
総務庁「住宅統計調査」(一九九三年)は「大修理を要すか、危険または修理不能」な住宅に住む世帯の割合を示している。
全体では五二二%(約二一七万世帯)だが、六五歳以上の人のいる世帯では六・九%(約八一万)、トイレや台所が共用の民間木造アパートでは、単身高齢世帯で三四・四%、高齢夫婦世帯で三八・九%を占める。
これは極端な老朽危険住宅に限った数字で、地震がきたら倒れるかもしれないような家に住んでいる高齢者はこれよりはるかに多いことであろう。
総務庁の調査による「高齢者が住宅に感じる問題点」は、住宅が狭い・部屋数が少ない(一九・七%)、古くていたんでいる(一九・三%)の二つが大きい(「高齢者自書」平成九年版)。
持ち家層の被害も大きかった。
住宅全体に占める持ち家の割合は五九・八%だが、高齢者のいる世帯では八五・七%と高い。
持ち家所有者でも収入は少ないから維持補修まで手がまわらない。
また「どんな家でも持てばよい」という持ち家政策がこうした被害につながった。
障害者の被災も深刻であった。
障害者は高齢者同様、なかなか家を貸してもらえない。
古い家に我慢してでも市街地の中に住まないと生活できないから、必然的に低質の家で暮らすことになる。
たとえば視覚障害者の多くは、繁華街のこみいった道の奥の古い木造の治療院というようなところに住み、あんま、はり、きゅうなどで生計をたてていた。
その家や職場が壊れて圧死したというケースがほとんどであった。
障害者は災害時の対応が困難である。
車いすでは倒れた家から逃げられない。
肢体不自由者、視覚障害者は動けないし、聴覚障害者は外から声をかけられても聞こえない。
生活保護世帯の死亡率の高さもきわだっている。
神戸市内の生保世帯一万四九五一のうち全壊三六一九世帯(二四・二%)、半壊二六五二世帯(一七・七%)。
全半壊合わせると四二%、死者二七八人(生保世帯員数の一・二四%)。
この数字は神戸市民一般の死亡率(〇・二六%)の五倍弱である。
生活保護世帯の住居の状態がわかる。
右にあげた高齢・障害・生活保護受給者層などは低所得者が多い。
神戸市内の木造賃貸アパート居住者を世帯収入別にみると、一〇〇万円未満三四・八%、一〇〇~二〇〇万円二七・九%、二〇〇~三〇〇万円一五・九%、四〇〇~五〇〇万円一一・五%、つまり二〇〇万円未満で六二・七%、三〇〇万円未満で七八・六%を占める(「大都市比較統計年表」一九九二年、大都市統計協議会)。
低所得層の住居の状態と被災の大きさが想像できる。
自助努力に委ねる住宅政策の欠陥がここにもあらわれている。
被差別部落住民震災は被差別部落住民にも大きな被害を与えた。
神戸市の同和対策事業での住宅地区改良事業や小集落改良事業の指定範囲は小さく、指定地区以外の木造・老朽家屋はほぼ全壊し、地域は壊滅状態に追い込まれた。
指定区域内でも残されていた老朽住宅、また既設の改良住宅においてさえ抜本的な補強、建て替えの必要があったにもかかわらず放置されていたところが大きな被害を受けた。
灘区のある地区では地区全体の九〇%にあたる五一〇戸が全半壊、死亡者二〇人、五二〇世帯、一二四〇人が避難した(神戸市調査)。
在日外国人、外国人労働者についても同じである。
外国人の死亡者は一七四人。
韓国・朝鮮人一一二人、中国人四四人、ブラジル人八人ミ、ヤンマー人三人、アメリカ人・フィリピン人各二人、アルジェリア人・オーストラリア人・ペルー人各一人。
この数字を死亡率で見ると、兵庫県被災地域における日本人の死亡率〇二五%にたいし、外国人の死亡率は〇二一二%
在日外国人の多住地域は下町の密集地にあって被害が大きかった。
住宅への入居差別で古い木造アパートに住まざるをえない人びとが、日本人より大きな被害を受けた。
被災を大きくした居住差別高齢者、障害者、在日外国人、被差別部落住民などに犠牲の多かった背景には、平常からの居住差別があった。
居住差別を受けていたのは、ほかにも母子家庭、独身女性、若いサラリーマン、学生など広範囲にわたる。
現在、家主や不動産業者は一般にこれらの人に住居を貸したがらない。
だから古いアパートにしか住めない。
住宅行政からも差別されている。
たとえば、公営住宅への申し込みは、単身者の場合五〇歳以上の女性、六〇歳以上の男性で二九平方メートル以下の中古住宅にかぎって可能である。
だが、古くて遠くて不便、それでも高倍率という場合が多い。
大阪府が平成七年度に募集した二二〇戸の単身住宅にたいして、九七一〇人が応募、四四二倍の倍率であった。
東京・新宿区の劣悪な民間アパートに住む六〇歳のある単身女性は、こう書いている。
「この一年間、行政機関その他へ何回も行きましたがだめでした。
都営・区営住宅も単身者は一年に一回募集するだけ、公団空き家も申し込んでいますが、ともに一〇〇倍です。
民間住宅入居も不動産屋は六〇歳といっただけで断ります。
」神戸市の同和対策事業は、「外観的に緑地のほとんどない、住宅棟の間隔が異常に接近した異様な高層住宅群をつくりだすとともに、住宅の内部構造が低質な規格と材料でつくられている」(『月刊部落問題』一九八九年三月号)など、他の自治体の改良事業と比べて福祉施設・共用施設の不備、改良住宅自体の劣悪な建築構造等が以前から指摘されていた。
それが地震で大被災につながり、住民に大きな犠牲をもたらした。
アメリカでは、単身、高齢、障害、女性、母子、マイノリティなどを理由に入居を拒否すると、罰せられる。
ヨーロッパ諸国も同じである。
居住差別を禁止する法律が制定されるべきであろう。
すべては住居の属性震災はまた、避難所・仮設住宅居住を通じ、改めて住まいの意義を明らかにした。
阪神・淡路大震災の被災者は四〇万六三三七世帯で、そのうち約三〇万人は学校の体育館・講堂・図書室、福祉施設、公共施設等々に避難した。
数百人の被災者が一つの施設に着の身着のまま、倒れた家から持ってきたり寄付された一枚の布団や毛布に何人もがくるまって寝た。

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